排卵日のイライラはPMSかも。みんなも悩んでいるPMSのやり過ごしかた

生理前になるとなぜかイライラする。それは排卵日と関係するPMSかもしれません。PMSはイライラだけでなく、感情の起伏が激しくなったり、疲れやすくなったり、さまざまな症状がありわかりにくいため、診断されにくく、ひとりで悩んでいる女性も多くいます。

なぜイライラするのか。排卵日と女性の体調

排卵日とは

女性の卵巣内には、思春期で50万個もの原子卵胞が入っています。女性ホルモンの分泌によって月に1個、卵巣から卵子が排出されます。これを「排卵」といいます。

卵子は卵管を通って子宮へ。卵管の途中で、精子と出会えたら受精卵となり妊娠ということになります。受精卵は子宮内膜に包まれて胎児へと成長します。

妊娠が成立しなければ、卵子は24時間以内に消え、子宮内膜は2週間後に体外へ排出されます。これが生理です。

女性ホルモンとは

女性の排卵には女性ホルモンが深くかかわっています。女性ホルモンには「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があります。

脳の視床下部(ししょうかぶ)から指令が出ると、脳下垂体(のうかすいたい)から性腺刺激ホルモンである「黄体化ホルモン」と「抱卵刺激ホルモン」が分泌されます。性腺刺激ホルモンは卵巣に働きかけ、卵巣からエストロゲンとプロゲステロンが分泌されます。

プロゲステロンは妊娠を助けるホルモンです。子宮内膜をフカフカにして、受精卵を着床させやすくしたり、妊娠を継続させたり、妊娠が成立しなかった場合、子宮を掃除したりする働きがあります。

一方、エストロゲンは、女性らしさを作るホルモンです。思春期から分泌量が増え、バストやヒップを大きくしたり、丸みが出てくるなど体つきを女性らしくします。そして妊娠に備えて子宮内膜を厚くしたりする働きがあります。

女性ホルモンのリズムで変化する体調

女性ホルモンの分泌にはリズムがあり、女性はそのリズムの影響を受けながら生活しています。

女性ホルモンのリズムは生理周期を見ることでわかります。生理の周期は「卵胞期」「排卵」「黄体期」「生理」の4つの時期から成り立っており、25~38日周期で繰り返されています。

増殖した子宮内膜がはがれ落ちて生理になります。生理が終わると卵胞期に入り、エストロゲンが大量に分泌されます。卵巣の中の卵胞が成熟していく時期で、妊娠に備えて子宮内膜も厚くなります。

この時期はエストロゲンが全身に十分行き渡っていますから、肌もツルツルで、体調もよく、心も前向きで明るくなり、女子力がマックスになる時期です。この時の基礎体温は低体温が続きます。

そして排卵が行われます。卵胞から卵子が飛び出して、この時期に精子と出会えば妊娠することができます。ここから黄体ホルモンであるプロゲステロンの分泌が盛んになってきます。排卵を境に妊娠の可能性があるこの時期は、受精卵を守るため基礎体温は高温期に入ります。

この黄体期と呼ばれる排卵以降になると体調に異変を感じる女性が多くなります。イライラするのもこの時期に重なります。ボーっとしたり、情緒不安定になったり、頭痛、腹痛、むくみなどのさまざまな不調があらわれることもあります。

黄体期は誰もが多少の不調を感じるものですが、このアンバランスがひどくなって、日常生活に支障が出てくるとpms、月経前症候群(げっけいぜんしょうこうぐん)といわれる症状があらわれます。

PMSってなんだろう

PMSはどんなときにあらわれるのか

PMSとは生理前、排卵日以降にいろいろな症状がありますよという意味ですが、昔から生理にからんで心や体調に変化が出ることは知られていました。ところが排卵日は、思いもよらないところで女性の日常生活に影響を及ぼしていました。

たとえば、ささいなことでイライラしてしまう、集中力が散漫になって仕事でミスを連発してしまう。いくら食べてもお腹が空いて仕方がなかったり、眠れなかったかと思うと、いくら眠っても寝足りなかったりといった、不調が決まって排卵日以降にあらわれます。

排卵が終わってから生理が始まるまでこの状態が続くこと、これがPMSの時期です。これが生理直前や生理中の不調ならば「これは生理のためだろう」と察しがつくので、心構えや対応策もできます。

しかし生理の1週間前や10日も前から体調の悪いことが生理とかかわっているとは、誰も想像できないのではないでしょうか。

PMSが気づかれにくい理由

PMSと知らずに悩む女性は多くいます。PMSが気づかれにくい原因は、あらわれる症状があまりにも多彩だからです。とにかく幅が広く「これがPMSの症状だ」とはいいきれません。

身体の不調は腹痛、頭痛、乳房痛、めまい、むきみ、吐き気、眠気、肌荒れ、下痢、便秘と何でもありです。さらに精神面ではイライラ、クヨクヨ、不眠、ヒステリー、集中力の低下などがあげられます。

これだけ症状が多岐にわたると、それをPMSだと断定できる人はいないのではないでしょうか。さらに、PMSと断定されたとしても、現状では完全に治す薬はありません。

PMSの特徴

月経困難症が主に生理中のつらい症状であるのに対して、PMSは生理前の症状をさします。排卵日を境にして、排卵の前が抱卵期、排卵のあとが黄体期になるになりますが、このPMSの症状があらわれるのが多くの場合、黄体期に集中します。

なぜ排卵後の黄体期に調子が悪くなるのかは分かっていません。ホルモンのバランスが大きく影響していることは確かですが、なぜなのかはいまだ判明していません。

PMSの特徴としては、下記のような症状があげられます。
・排卵後の黄体期、特に生理の数日前から症状が出る
・生理直前がもっともひどい
・生理が始まると症状が軽くなり、自然に消えていく
・出産経験のある成熟期の女性に多い
・症状はさまざまで、特定することができない

PMSを見分ける方法

軽度なものを含めると、かなりの女性がPMSに悩んでいるはずですが、排卵との関係に気づかないまま過ごしている人も多いのではないでしょうか。症状が特定されないという点でも「何となく調子が悪い」といって婦人科を訪れる人はほとんどなく、だいたいが内科を受診することになります。内科の視点で診察するため、排卵が関係するPMSとはどんどん離れていってしまいます。

では自分がPMSであるかどうか判断するためにはどうしたらいいのでしょうか。最も確実なのは「基礎体温」を記録することです。体温によって、体調の悪いときが排卵後の黄体期に決まって訪れる場合は、PMSを疑いましょう。

ただ毎日忙しい女性にとって、毎朝5分も寝床でじっとして体温を測るというのは難しいかもしれません。そんな時には、手帳やカレンダーに「生理のあった日」「排卵日らしいと思われる日」を記入しておきます。そして自分の症状も同時に書き記しておきます。

たとえば「今日はイライラして子供をしかり飛ばした」とか「なぜか甘いものが無性に欲しくなった」「眠くてたまらない」といった1行日記風に書き留めておきます。

これを2、3か月続けてみましょう。もし生理に関係する症状であれば、だんだん見えてきます。心身ともに不調な日が黄体期に集中していたら、それは生理と関係するPMSを疑います。

もしこれらの症状で不安に思って病院を訪れるときには、必ず基礎体温を測ってその記録データーを持参したほうがいいでしょう。基礎体温があるのとないのとでは診断に大きな差が出るからです。

生理前のイライラは最も多い症状

生理前の症状でイライラする、怒りっぽくなるという女性は7割近くもいるといわれています。叱らなくてもいいことで子供を叱ってしまったり、パートナーともつまらないことでケンカをしたりすることが毎月恒例になって、家族も「あ~生理前だからだな」とわかっているケースも多々あります。

そのため「この時期の私は仕方がないのよ!」と開き直る人もいますが、そのあとで「ああ、またやっちゃった。私ってどうしてこうなんだろう」と自己嫌悪に陥ってしまいます。さらに開き直ることで「生理前はイライラして当たり前」という自己暗示をかけてしまうため、ますます症状は悪化していきます。

自己嫌悪は、落ち込むことで精神状態がさらに不安定になりますから、自分でわざわざ追い打ちをかけているようなものです。

生理前のイライラを軽減するためにできること

ただイライラするだけだったり、感情の起伏が激しくなって、少しだけ周りの人に迷惑をかける程度だったら、わざわざ病院に行くこともないかもしれません。生理に関係なくても、人間だからイライラする時もあれば、落ち込むときもあります。

生理前のイライラも、それ以外のイライラも共通点があります。嫌な時があったとき、体調の悪いとき、疲れている時、睡眠不足のとき、自分の思った通りに物事が進まない時など、いろいろです。ただ、そのスイッチが入りやすくなっている状態だと考えましょう。

ですから、スイッチが入らないように、この時期は特に体をゆっくり休ませたり、きっちりスケジュールを入れなかったり、自分が心地よいと思うことをするように心がけます。

それぞれに自分なりのイライラスイッチを入れない方法を考えれば、PMSの心の動揺も、それの延長線上で考えられるようになります。

PMSを上手に乗り切るための治療法

PMS症状が比較的軽く、生活に支障がない程度ならば、体を休めたり、気分転換するなどして何とかやり過ごすことができます。しかし体の不調が深刻だったり、落ち込みやイライラなど情緒不安定が生活の支障になったり、家族に悪影響を及ぼすようなら、治療に頼るしかありません。

ピルを使う

ピルは妊娠状態を人工的に作り上げる避妊薬だということは、ほとんどの人が知っていることです。一方で、月経困難症に最も効果のある薬として使われていることはあまり知られていません。

一時的に痛みを抑える鎮痛剤とは違って、ほとんどの人に効果があり、ピルの服用をやめた後も、かなりの人がそのまま治ってしまうそうです。

pmsの場合も治療にピルが使われることが多く、月経困難症ほど劇的な効果は期待できませんが、かなりの人が軽くなったり、完治するケースもあります。

ピルのリスク

ピルはだんだんホルモン含有量の少ないものが開発されてきており、リスクも低くなっています。とはいうものの、ピルはホルモン剤であり、それも妊娠状態を作ってしまうほどの強いホルモンです。

吐き気や頭痛、食欲不振、乳房の腫れ、顔のシミなどの副作用がどうしても出てしまいます。これらの副作用は飲んでいくうちに消えていきますから、よくある副作用についてはそれほど心配する人ようはありません。

それよりも「きわめてまれな副作用」といわれる副作用があります。ピルが普及している欧米では、かなり前からピルを長期間にわたって飲んでいた女性に、脳血栓などの血栓症や肝臓がん、子宮がんや乳がんが多いと指摘されています。

ツボ療法

病気を治す西洋医学に対して、病気を持つ人間全体を見て治そうという考え方の東洋医学は、PMSのようなはっきりしない症状に合っているのではないでしょうか。

ツボ療法には指圧やお灸、ハリなどがあります。指圧は、親指の腹でツボをグッと押します。ツボにはまると、ズキンと痛んだり、ひびきを感じたり、気持よく感じるなどほかの場所にはない感覚があります。

お灸は熱くて怖い、痕が残るんじゃないかと考えがちですが、これは直接肌に密着させた場合です。市販されているお灸は、痕のつかない間接灸が主流になっています。とりあえずやってみたいという人は、ドライヤーを使ってみてもいいでしょう。

これらのツボ療法は、できれば症状が出はじめる前から始めた方が効果が期待できます。つまり1週間前から症状が出る人は10日まえくらいから、3日まえから症状の出る人は、1週間前ぐらいから毎日、自分の症状に合った指圧や温灸を続けてみましょう。

食生活の改善

排卵日にイライラする人は、ビタミンB6とマグネシウムを積極的に摂るようにしましょう。特にpmsを発症している女性は、欠乏とまで入っていなくても、不足しがちになる体質なので多めに摂ることです。

マグネシウムは、不足すると緊張したりイライラします。反対に緊張やイライラがあると、せっかくのマグネシウムの吸収が悪くなる上に、体の外へ排出されてしまうため結果的に足りなくなります。

ビタミンB6は糖尿病の予防や抗アレルギー作用などの効果が認められています。それに加えて、憂うつになるのを抑える抗うつ作用やむくみをとる働きもあります。

ビタミンB6は、日ごろよく食べる食品、まぐろや鶏肉などに多く含まれていますから、不足する心配はありません。しかし、女性ホルモンである黄体ホルモンがビタミンB6の働きを阻害する作用があるため、排卵日以降の黄体ホルモン期に入ったら、意識して摂取するようにしましょう。

まとめ

排卵日を境に急にイライラするのは、女性ホルモンの影響です。生理前にこうした症状が起こるのはPMSといわれていますが、最近ようやく一般的になり、治療方法が研究されています。まだこれといった特効薬がないなか、自分でも生活の中で少しの工夫でやり過ごすことができます。長い間こうしたPMSで悩んでいた人は、少しでも楽になるように生活を見直してみましょう。