生理が少ないのは無排卵月経かも?無排卵月経の原因・症状・治療法の基礎情報まとめ

生理は来ているからと何も心配していなくても、実は「無排卵月経」というものがあります。生理はきているのに排卵が起こらない「排卵障害」のひとつです。近年この無排卵月経が増えており、しかも自分が無排卵なことに気づいていない人も多く、放置していたら妊娠しにくくなったり、婦人科系の病気になるリスクをも高めてしまうかもしれません。そうならないためにも、無排卵月経について詳しく知っていきましょう。

無排卵月経とは

通常、月経というのは、排卵が起こって、その後妊娠に至らなかった場合に、不要となった子宮内膜がはがれおちることで起こりますが、「無排卵月経」とは、月経はあっても排卵が行われていない状態のことを言います。

なぜ排卵がないのに月経が起こるのかというと、無排卵月経は脳または卵巣に異常があり、卵巣内で卵胞がある段階までは発育するので子宮内膜は増殖しますが、排卵にいたるほど成熟しないので卵胞はそのまま小さくなってしまいます。すると女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが急速に減少し、子宮内膜がはがれおちて月経(無排卵月経)となるのです。

無排卵月経の原因

無理なダイエットや過激な体重減少

無理なダイエットにより、極端に体重が減ることは無排卵月経や無月経の大きな原因の一つです。過激なダイエットで食事制限をしていると、脳が「食べ物が無い状態」と勘違いしてしまいます。妊娠・出産はとても体に負担がかかることなので、食べ物がない飢餓状態である時に妊娠したら体に良くないと判断し、自分の身体を守るために、妊娠しないように排卵を止めたり生理を止めてしまうそうです。

激しい運動による肉体的ストレス

適度な運動は疲労回復やストレス解消になりますが、激しい運動は肉体的なストレスとなります。そもそも運動とは、ブドウ糖を燃やしてそれをエネルギーに筋肉を動かすことですが、激しい運動は体の中に強い酸化ストレスを引き起こします。精神的なストレスだけでなく、このような肉体的なストレスも無排卵月経の原因となるそうです。

強いストレスによるダメージ

女性の体はとてもデリケートで、なかでも卵巣はストレスにとても弱い臓器ですので、強いストレスには耐えられなくなってしまいます。卵巣に排卵を促しているのは脳の「視床下部・下垂体」というところですが、強いストレスを感じるとすぐにダメージを受けて、ホルモンが分泌がきちんとできなくなってしまいます。ホルモンの分泌によって排卵の指示を受けている卵巣は、排卵の指示が届かなくなるので排卵できなくなり、それによって無排卵月経や無月経などを引き起こしてしまいます。

不規則な生活習慣

女性の体は「エストロゲン」と「プロゲステロン」という2種類の女性ホルモンが大きく関わっており、この2種類のホルモンバランスが正常な状態であれば問題ありませんが、バランスが取れなくなると様々な不調を引き起こし、無排卵月経もその一つと言われています。

脳に負担がかかることがあると、適切にホルモン分泌の指示を出せなくなり、排卵や月経が起こらなくなります。前項の強いストレスも脳に負担をかけるになりますが、不規則な生活、睡眠不足、乱れた食生活、運動不足など、日頃の生活習慣によるダメージも大きく、ホルモンバランスを崩す原因となります。

過度な喫煙

喫煙は卵子が育つ環境が悪化したり、卵管の機能にも障害を起こす恐れがあるため、妊娠しにくくなると言われています。過度な喫煙は、煙草に含まれる成分(ニコチン、カドミウムなど)が、卵子を取り囲む細胞や卵胞液に溜まり、卵子の発育を妨げることになります。また、喫煙は女性ホルモンの分泌を低下させることにもなるため、排卵が起こらなくなるのだそうです。

冷えによる血行不良

「冷えは女性の敵」「女性は体を冷やしてはいけない」と良く聞きますが、冷えはとホルモンバランスの崩れにつながります。寒い時は体が縮こまりますが、それと同じことが体内でも起こるので、血行が悪くなるのです。すると自律神経が乱れ、ホルモンの分泌に異常が起こって、結果としてホルモンバランスが崩れてしまうとのことです。

特に足元から冷えることが多いのですが、足元の冷えは下半身の臓器の機能も妨げます。冷えはホルモンバランスを乱すだけでなく、子宮や卵巣の機能にまで影響するということになります。

高プロラクチン血症

「プロラクチン」とは、脳下垂体から分泌されるホルモンの一つで、乳腺を刺激して母乳の分泌を促す働きがあります。また、授乳期は子供がまだ小さく、母体もまだ回復しきっていないので排卵を抑え、次の妊娠を防ぐ作用もあります。

高プロラクチン血症は、授乳中でもないの血液中のプロラクチンが増え過ぎる病気で、体は授乳中と勘違いして、排卵を止めてしまいます。無排卵月経だけでなく、生理不順、不妊、流産の原因になると言われています。

多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)

卵巣にはたくさんの卵細胞があり、通常ならば平均して月にひとつずつ成熟し、排卵が起こります。卵細胞は卵胞という袋に包まれていて、発育に伴ってこの袋が大きくなり、およそ2cmくらいの大きさになると破裂して、卵胞の中の液体とともに卵細胞が排卵されるのです。

多嚢胞性卵巣症候群とは、卵巣に卵胞がたくさんできるのですが、なかなか排卵できなくなる病気です。卵巣がうまく働かないために排卵が起こらないので、無排卵月経・月経不順・無月経などが多く起こるそうです。原因には様々な説があり、まだはっきりと解明はされていませんが、ホルモンバランスの乱れや糖代謝の異常などが考えられています。

無排卵月経になりやすい人

30代の女性

30代頃の女性は、仕事や育児などによるストレスも多く、生活もつい不規則になりがちなこともあると思います。また美容のためとはいえ、過度なダイエットによる痩せすぎな女性も多くいるため、無排卵月経は30代女性に起こりやすい症状とのことです。

さらに30代後半になると、卵巣機能の低下が少しずつはじまり、女性ホルモンの分泌も減ってくるそうです。更年期の前段階と言われ、多くの女性の月経周期に閉経に向けての変化が現れることになります。周期が不規則になると同時に、経血量が少なくなったり、逆に多すぎたりなどが起こることもあり、無排卵月経の確率も高いとのことです。

更年期の女性

平均的な閉経の年齢は50歳くらいですが、閉経前後の45~55歳を「更年期」と言います。更年期にはいろいろな症状が起こりますが、イライラや不眠、肩こり、頭痛、のぼせ、冷えなどが主な症状です。こうした更年期の症状は、卵巣機能の低下による女性ホルモンの分泌が少なくなるためです。そのため、更年期の女性は高い頻度で月経不順となり、月経は来ていても無排卵月経であることが見受けられます。

産後の女性

産後は女性ホルモンの「エストロゲン」が急速に減少して、「プロラクチン」というホルモンの働きによって母乳の分泌が始まります。授乳中はプロラクチンなどの働きによって、卵巣機能が抑えられているので、基本的に月経が起こらないか、月経が再開しても無排卵であることがあります。

無排卵月経の症状

普通の月経より出血量が少ない

1回の月経での経血量は個人差がありますが約50~100gほどで、一般的には多い日で1日30g(大さじ3杯)程度です。思春期のころは毎回の経血量も一定でないことも多いものですが、成人になるとほぼ一定になります。もちろん体調や精神状態によっても左右されたり、周期が乱れることも起こり得ます。

無排卵月経の場合は、一般的に経血量が少なくなることが多く、生理痛が弱まるといった、今までの月経とは違った症状が見られることが多いそうです。

少量の出血がダラダラ続く

清浄な月経期間は3~7日間で、8日以上続く場合を「過長月経(かちょうげっけい)」と言います。無排卵月経は過長月経の原因のひとつと言われてます。それは、排卵が起こっていないので、女性ホルモンの波がしっかり作られないので、きちんとした周期(リズム)にならず、中途半端な出血がダラダラと続いてしまいます。経血量としては決して多くはないのですが、少ない量のまま2週間近く出血が止まらないということもあります。

不正出血がある

月経期間中でない時に出血が起こることを「不正出血」と言います。ホルモンバランスの乱れによって無排卵となっているので、不正出血などの症状も見られます。但し、他の婦人科系の病気でも不正出血が起こることがありますので、自己判断せずに不正出血が合った場合には婦人科を受診することをおすすめします。

《不正出血の原因》
①悪性腫瘍のよるもの(子宮頸ガン、子宮体ガンなどの婦人科ガン)
②ホルモンバランスの乱れによるもの(月経不順、無排卵、卵巣機能不全、更年期)
③炎症によるもの(子宮膣部びらん、性感染症)
④妊娠に伴うもの(流産、早産、子宮外妊娠など)

月経痛が少ない

排卵後に妊娠しなかった場合、子宮内膜が剥がれ落ちて月経が起こり、これを押し出すために子宮の収縮が起こります。これが「月経痛(生理痛)」の原因です。無排卵月経の場合、いつもある月経痛がない・少ないということが多いそうです。

生理周期が不規則

妊娠していないのに生理が来ないとか、生理周期が長くなったり短くなったり不規則で、次の生理がいつ来るかわからない状態も無排卵月経の症状のひとつです。生理周期はストレスや体調によっても変わりますので、1回くらい生理が早まった・遅れたとしても、その次はいつもの周期に戻ったという場合は心配ないそうです。

ちなみに月経周期が24日以下の場合を「頻発月経」、39日以上の場合を「希発月経」といいます。無排卵月経はどちらも起こる可能性がありますが、それほど不規則にならないこともあるそうなので、生理周期が不規則なことが続く場合は、基礎体温を付けることをおすすめします。

基礎体温での高温期と低温期の区別がない

基礎体温とは、体の動きが一番安静な状態にあるときの体温のことで、朝、目を覚まして起き上がる前にそのまま口の中(舌下)で測ります。

基礎体温は、月経周期の中で排卵を境に、低温期と高温期に分かれます。低温期は生理開始後、排卵までの期間です。高温期は排卵後次の生理までの期間で、低温期より0.3°以上高ければ正常と言われています。通常基礎体温はこのように2層のはっきりと区別ができるものなのですが、低温期と高温期の温度差が0.3℃以下であったり、2層に分かれていない場合は、月経があっても無排卵月経の可能性があるそうです。

無排卵月経の検査

血液検査

無排卵月経は、ホルモンバランスの乱れが原因であることが多いので、血液を採取し、血液中の女性ホルモンの量を調べる検査をします。クリニックや産婦人科のある病院で受けることができます。「エストロゲン」の値を測定することによって、この数値が基準値より低い場合は、卵巣機能が低下していることが推測され、無排卵、無月経、更年期などと考えられます。

排卵を起こすための「黄体形成ホルモン」の値をチェックすれば、排卵の時期を予測できるそうです。無排卵の原因のひとつである多嚢胞性卵巣症候群の診断にも測定されます。また、高プロラクチン血症の場合は、「プロラクチン」が高くなります。

子宮や卵巣の超音波検査

超音波検査は、産婦人科ではとてもよく行われるもので、非常に重要な検査です。膣内の細い検査用の器具を挿入して、子宮や卵巣を見ることができるので、子宮筋腫・子宮内膜症・多嚢胞性卵巣症候群などの診断はもちろんですが、卵胞の発育を見たり、排卵日予測など様々な場面において必須の検査になります。この経腟超音波検査で卵胞発育や排卵が認められない場合は無排卵の可能性があり、その他の血液検査や基礎体温の検査など総合的にみて診断されます。

無排卵月経の治療法

漢方薬での治療

無排卵で不規則だけれども月経が60日以上の間があくということもないとか、ホルモンは少なめながらでもある程度は保たれているといった場合には、ホルモン剤ではなく漢方薬で様子を見ることもあります。その際は体を温めたり、血液の流れを良くする漢方薬を使用し、同時に生活習慣なども見直すことで、卵巣の働きを回復させるそうです。

ホルモン剤による「カウフマン療法」

排卵を整えるためにホルモン剤を使用する「カウフマン療法」という治療方法があります。無排卵や無月経などの排卵障害がある方が対象となり、本来ならば卵巣から分泌されるエストロゲンやプロゲステロンを、内服または注射で補充します。つまり人口的にホルモンバランスを整え、生理を来させることで正常な周期に戻して、これによって卵巣がきちんと働き始めることを期待した治療法です。

最も一般的なのは内服薬による方法は、28日(4週間)を1周期として、まずはエストロゲンを1日2錠飲み、12日目からはプロゲステロンを1日2錠を合わせて飲みます。合計でエストロゲンは21日間、プロゲステロンは10日間飲むことになるのですが、飲み始めてから21日目には両方とも飲むのを止めて、1週間は薬をお休みします。薬を止めて2~3日で月経のような出血が起こるそうです。

排卵誘発剤

無排卵月経・無月経などの排卵障害による月経の異常に場合には、排卵誘発剤もしばしば使用されます。主な排卵誘発剤では「クロミッド」があります。これは軽度の無排卵月経に有効とされ、月経が始まって3日目から1日1~2錠を5日間服用します。これに反応して薬を飲み始めて14日ほどで排卵が起こるそうです。

生活習慣の見直し

無排卵月経をそのままにしておくと、将来妊娠しにくくなったり、肩こりや頭痛などの更年期のような症状に早くから悩まされることもあります。また、骨粗鬆症や生活習慣病のリスクを高めることもあるそうです。

無排卵月経とわかったら、もちろん婦人科での治療の大切ですが、それと並行してまずご自身の生活をきちんと見つめ直すことが大切です。1日3食の栄養バランスの取れた食事や、十分な睡眠、適度な運動などを子心がけましょう。また、無排卵月経にとっての大敵はストレスです。ストレスを全く無くすのは難しいので、自分に合った解消法を見つけ、上手に付き合っていくコツをつかみましょう。

無排卵月経から妊娠するには

排卵誘発剤による治療

無排卵月経の方で妊娠を希望している場合、排卵しなければ妊娠はしないので、ほとんどの場合に排卵誘発剤が使われます。飲み薬で卵巣を刺激して排卵を起こすのですが、飲み薬では効果が見られない場合には。注射でより強力に卵巣を刺激することもあります。

身体を温め血行を良くする

「冷え」は血行不良を引き起こすので、卵巣に酸素や栄養が十分に行き渡らなくなり、卵巣機能の低下を招き、無排卵月経や生理不順の原因になります。食事や日常生活を見直して身体を温めて血行を良くすることで、妊娠しやすい身体づくりを心がけましょう。

まず自分が冷えているか確認しましょう。以下の項目に3つ以上当てはまる人は要注意です!
□平熱が低く、36℃に満たない
□手足は冷たいのに上半身がほてる「冷えのぼせ」体質
□むくんだり、便秘になりやすい
□肩こり、腰痛、頭痛、生理痛がある
□冷たい飲み物や食べ物がすき
□お風呂はシャワーで済ませることが多い

では生活の中で工夫しやすい身体を温める方法をご紹介します。ぜひ積極的に実行してみてください
①お風呂にゆっくりつかる
夜はぬるま湯の半身浴で、できれば30分以上はゆったりお湯につかりましょう。

②体を温める食材を食べる
生野菜よりも温野菜にして食べたり、あたたかい飲み物を飲むなど、体の内側からあたためましょう。

③水分の取りすぎに注意
十分な運動をせず水分が体内に残ると、体を冷やす原因になります。冷たい飲み物を、あたたかいものにかえるだけで水分のとりすぎを防ぐことができます。

規則正しい生活をする

月経や排卵のリズムを整えるためは、規則正しい生活を送るという当たり前のことが一番大切になります。排卵が不安定になるのは、生活習慣の乱れや社会生活上の強いストレス、また無理のあるダイエットが原因な場合がほとんどですので、睡眠・運動などにも気を配り、健康的な生活を心がけてみてください。

睡眠は規則正しい生活を送るうえで非常に重要で、脳や体に休養を与えるだけでなく、乱れた体内時計をリセットする重要な役割を果たしています。夜になると目が冴えて眠れないという人は、意識的に決まった時間に布団に入る習慣をつけることから始めましょう。

また、私たちの体には、朝起きて、夜は休むという体内リズムが備わっています。まずはリズムを整えることを意識しましょう。朝が苦手という人は、起きたらすぐにカーテンを開け、日の光を浴びましょう。光の刺激で、脳が目覚めるはずです。

バランスの良い食事をする

人間の身体は食べ物によって作られ、脳が正常に働いて卵巣が機能するのも食べ物からの栄養のおかげなのです。美容目的のダイエットなどで極端に食事を減らしたり、体重が激減するようなことがあると、ホルモンが分泌されなくなって排卵も起こらなくなってしまいます。

食事は1日3食が基本で、できるだけ朝・昼・夕の時間帯も規則正しいといいですね。健康的な食生活は脳も卵巣も健康に保ち、排卵や月経などのリズムを整えてくれるので妊娠できる身体になるそうです。もちろん、日頃から食生活に気を配っていれば、妊娠後も余分な体重増加などに悩まされることなく、生まれてくる赤ちゃんの健康にもつながるでしょう。

まとめ

これまで見てきました通り、無排卵月経はそのほとんどがホルモンバランスの乱れが原因と考えられます。もちろんホルモンの分泌に直接関与する器官である卵巣・視床下部・脳下垂体に異常がある場合もありますが、 病的な原因がない場合は、極端なダイエットや激しすぎる運動、日常のストレス、冷えによる血行不良が原因とのことです。日常の生活をよく見直し、改善することが無排卵月経を解消するためのもっとも良い方法といえるかも知れません。

無排卵月経に限ったことではありませんが、婦人科系の病気は放っておいた期間が長くなるほど、治療にも時間がかかり、改善が難しくなることも多いものです。また、月経についての悩みは人に相談しにくく、他人とは比べにくいことなので「こんなものだろう」と思ってしまって受診が遅れるケースもあります。

無排卵月経の特徴である「経血量が少ない」「少量の出血がダラダラ続く」などの症状がある場合は、一度気軽に婦人科に相談してみましょう。とくに今後妊娠を希望している方は早めに受診しましょう。